ソコタノ日記:黄斑円孔の手術を受けて その1 手術当日 手術は痛くもないし怖い思いもしなかった。

退職後の新しい生活をそこそこ楽しむ「ソコタノ日記」です。これは、その特別編。黄斑円孔の手術を受けた話です。 この記事の初出は、 note.com です。

ソコタノ日記:黄斑円孔の手術を受けて その1 手術当日 手術は痛くもないし怖い思いもしなかった。|phantasien
退職後の新しい生活をそこそこ楽しむ「ソコタノ日記」です。これは、その特別編。黄斑円孔の手術を受けた話です。 2021年暮れに、右眼が黄斑円孔という病気になりました。網膜に穴が空いて視野の中央が見えなくなり、その周りも歪んで見えるようになりま...


2021年暮れに、右眼が黄斑円孔という病気になりました。網膜に穴が空いて視野の中央が見えなくなり、その周りも歪んで見えるようになりました。手術を受けないと悪化するとのこと。そのため1月17日に手術を受けました。
せっかくなので、同じ病気になった人に参考になればと思って、自分の記録や記憶をもとにその様子を記していきます。
なお、私には医療の知識もありませんので、勘違いや記憶違いもあるかもしれません。そのあたりは、ご了承の上、読んでいただければと思います。

手術前

自覚症状から近所の眼科医院に行き黄斑円孔の診断を受け、手術ができる眼科医院を紹介された話は、以前の記事に書きました。

この記事では、眼の手術を行うってのはこわいけど、考えようによっては、まだ左目だってあるんだからダイジョブ! って思えたというようなことを書きました。
黄斑円孔については、以下のページの説明がわかりやすいかと思われます。

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手術当日、件の眼科医院では白内障の手術を受ける方が先になっていました。私は、その後ということ。なんと16番目。このため、午前8:30からの事前検査を受けたあと、一度家に帰って休憩することにしました。再度病院に行くのは14時ということでした。

14時に病院を再訪し、手術を受けに来た旨を受付で告げました。たくさんの患者さんがいますので、結構待たなければなりません。
待合室で4種類ほどの目薬をさされました。その他、血圧を測ったり、再度目薬をさされたりしました。

1時間くらい待合室で待って、病室の方へ移動しました。そこで着替えをし、説明を受けました。ここでも目薬を3種類ほどさしてもらったと思います。
さらにしばらくして、血圧を測りました。驚くことに高い方は140。これまでそんなに上がったことは一度もありません。やはり自覚はなかったけれど緊張していたのでしょう。
その後、抗生物質の点滴を打つことになりました。ゆっくりめに入るように調整され、手術を待つことになりました。いよいよ近づいたって感じがしました。
病室にはテレビがあり、点滴を受けながら相棒のドラマを丸々一本見ました。だから1時間ほど経過したかと思います。(もしかしたら、ドラマの最中に点滴が始まったかも)
看護師さんが来て説明をしてくれました。次のようなことだったと記憶しています。

  1. お医者さんが右を向いてと言ったらむくこと
  2. 手術中は笑気ガスを使うこと
  3. くしゃみや咳が出そうになったら危ないのでお医者さんに申し出ること

まだあったかもしれませんが、失念しました。なんといっても怖いのは3番めです。咳やくしゃみなんて急に出そうになることがあります。いわないと動いてしまい、眼を傷つけることになりそうです。咳はしないようにしよう! 出そうになったら必ず申し出よう! と心に誓いました。

いよいよ手術

17時になる前くらいだったと思います。「おまたせしました」と名前をよばれ手術室に行くことになりました。
先の記事に「右眼がだめになっても左目がある」とは書きましたが、仮にそうなるにしても、眼に何かが突き立てられるってのはおそろしく感じます。

そうそう、事前にお医者さんや看護師さんから聞いていた手術の概要を書くのを忘れていました。私の認識では、手術は次のような感じで行われます。

眼球の中の液を抜く。
液の代わりにガスを入れる。このガスが穴の空いているところを抑える? ようにして穴が塞がれる。

具体的な道具や操作はわかりませんが、シロート考えでも液を抜くため、さらにガスを入れるためにパイプ状のものが眼球にさされるのではないか? と思えました。それが手術のときに見えるとしたら、そりゃ恐ろしいと思わずにいられません。
とはいえ、麻酔効果があるらしい笑気ガスってのを使ってくれるのだからそのあたりはだいじょうぶか? とも思っておりました。

看護師さんにヘアキャップ上のビニルの袋みたいなのをかぶせられ、はだしになって手術室に入りました。手術室には、私が思ったよりも多くのスタッフがいました。7人くらいいたかなぁ。正確にはおぼえておりません。人の人数を数える余裕などありません。
床屋さんの椅子みたいな手術台にすわるとリクライニングで横になりました。右眼を水みたいなので洗浄し、消毒され、麻酔の目薬をさされました。心の中で「たっぷり効かせてください。足りないなんてことないように……」などと思いました。鼻の穴に酸素と笑気ガスが出ているパイプを当てられました。笑気ガスがよく効くように一生懸命吸わなきゃ! とも思いました。その後、右眼の部分が空いている布を顔に被せられます。これで、左目で周りが見えなくなりました。
右眼のところの布の穴を通して、まぶたを閉じないようにする処理をしているようでした。(あくまでも印象)
それが終わるとすぐに手術開始です。ここで、あれっ? と思いました。笑気ガスを使うというので、意識が薄くなるとか、陶酔感を味わうとか、そういうことになると思っていたのですが、ぜーんぜん変わらない感じです。お医者さんたちが話す声はよーく聞こえますし、正面から当てられている光はめっちゃまぶしく見えます。麻酔が効いているというような自覚症状がありません。だからといって助けてくれーなんていえません。まあなるようになるだろうと思いました。
眼にパイプみたいなのをさすのが見えたら怖いって思っていましたが、その心配はありませんでした。最初に眼に強い光が当てられていて何もみえないのです。また麻酔が効いているためか、目尻のところで何かをしてるのはわかりますが、痛みもありません。
そうこうしているうちに、眼球の中の液がぬかれはじめました。眼の中で粒子状の様々な半透明な粒模様が動いているように見えました。「あっ、なるほど液を抜くとこういう感じになるのかぁ」と思いました。そして、しばらくすると「ガスをいれます」という声が聞こえ圧力をどのくらいとかいいながら作業が続けられました。やはり、よくわからないけどなんとなく眼の中で様子が変わっていきました。ただ、眼球が風船のように膨らむとかそんな感じはしませんでした。
その間、執刀医にあたる先生が、若い先生に色々と説明をしていました。それが、またしっかりはっきりと聞こえるのです。本当に笑気ガスって効いているのか? と思わずに入られませんでした。別に、痛みなどは感じないのですが、いつ痛い思いをするかわかりません。笑気ガスが効くように鼻のパイプから出ているガスを深呼吸するように一生懸命吸って口で吐くようにしました。ここで思ったのは、毎朝、早く起きて腹筋や腕立て伏せのあとに、腹式呼吸をしながら瞑想するようにしていてよかったなぁということです。ゆっくり鼻から吸ってゆっくり口から吐くことがリズム良くできました。少しあとになって気づいたのは、なんとなく手足が普段よりもしびれているような感じがするということでした。意識はしっかりしているけどやはり笑気ガスの効果ってのがあるのだと思いました。
結局、手術の最後まで、痛みを感じることはありませんでした。やはりプロです。患者が苦しまないように最善を尽くしてくれているのだと思いました。
私と同じように黄斑円孔でガスを入れる手術を受けることになった皆様、大変ですね。でも、手術は、痛くもないし、怖い思いをすることもありませんよ。眼にメスが近づいてくるのがわかるなんてことは、まーったくありませんでした。眼に何かが刺さるような痛みを感じるということもありませんでした。笑気ガスをすっても意識がはっきりしていることは、問題ないようです。必要以上にビビらなくても大丈夫です。

おそらく手術にかかった時間は30分もなかったかと思われます。「終わりましたよぉ。手術はうまくいきましたよ。」と言われ顔の布をはずされました。嬉しい言葉でした。
そのあとすぐに立ち上がり、「ありがとうございました。」といって歩いて手術室から出ました。ふらつきもありませんでした。……つまり笑気ガスってそんな感じのものなんですね。
右眼には金属の板でできている眼帯がつけられていました。

下を向いてなきゃいけないんだなぁ。

さて、術後に看護師さんに言われたのは次の言葉でした。
できるだけ下を見るようにしていてください。
この言葉は、お医者さんからも事前に言われていました。

これは、どういうことかというと、私の理解では次のようになっています。

眼球を地球儀にたとえレンズ側を北極、穴の空いてしまった網膜側を南極とします。南極側の網膜の穴を閉じるにはガスで抑えなければいけません。そのためにガスを入れたのです。ただ、眼球は液がなくなると自分で補充していこうとするらしいのです。空だった地球儀の中に液が次第に溜まっていきます。
手術したばかりのときは、ガスしか入っていませんから北極側も南極側もガスに触れています。しかし、液が溜まってくると、重力によって液は下側になります。もし、南極側の網膜が下になっていると、ガスではなく液が触れることになり穴を塞ぐことができません。したがって、南極側の網膜が上に行き北極側のレンズが下を向くようにしなければなりません。
つまり、網膜にガスが触れるようにするためには、レンズを下に向けること、下を見ることが必要になるのです。

これをやるのが大変でした。まず椅子に座って待つ間も下を向いていなければなりません。その姿勢には無理があります。しばらくすると首がいたくなりました。妻のお迎えの車の中でも下を向きっぱなしです。車は揺れますから、普段は全くならない車酔いになりそうでした。帰宅してから夕食を取りましたが、下を向いたまま飲み物を飲むのには無理があります。私は、はじめてストローを使ってノンアルコールのビール飲料を飲みました。

もっと大変なのが、寝ることでした。うつ伏せになって寝なければなりません。お医者さんはよく考えていて、うつ伏せになって寝るのにいいようにクッションを150円で売っていました。形は、一箇所切れているドーナツみたいです。(アルファベットのCの形といってもよいでしょう。)ビーズクッションですからある程度形も変形できました。(それに、安い!)
しかし、しかし、それを使ってもなかなか寝付くものではありません。頭の中では「とにかくうつ伏せを守らないと網膜の穴が塞がらない、治らない」という思いがあります。「寝入って寝返りを打って横になっちゃだめ!」という強迫観念がありました。だから、ほとんど眠れずに一夜を過ごしました。まあ、うとうとはしたと思いますが。
眠れないってのはなかなかつらいものがあります。でも、そのときに思ったのは次のことです。

一晩眠れないのは辛い! でも、それを耐えることで視界が確保された残りの人生が買える。ならば安いもの! 平気平気!

ラッキーだったのは、手術が遅い時間に行われたことです。早い時間帯に行われていたら、長い昼間もずっとうつぶせでがんばらなければなりませんでした。夜だけ耐えればなんとかなるというようになったのは、お医者さんの配慮なのかもしれません。

とにかく、手術は無事に終え、眠れる夜をすごして、次の日の朝を迎えることになりました。
……たぶん続く。

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