裁判員裁判を傍聴してきました。検察官と弁護士のプレゼン能力で量刑が決まると思うと怖い!

裁判の傍聴へ

 先日、久々の平日休みが取れたので、職場の仲間と久々に裁判の傍聴に行ってきました。
 これは、個人的な意見ですが、小学校の教員や中学の社会科の教員は、一度は裁判を膨張しに行くべきだと思っています。教科書や子ども向けの模擬裁判では絶対に分からぬ現実が裁判にはあります。

その日、どんな裁判が行われるか行ってみないとわからない。

 裁判の傍聴で不便だと思うのは、事前にどういう裁判が何時から行われるか? ということが一般人にはわかりにくいことです。裁判所に行って受付のところで一覧表になっているものを見ないとその日行われる裁判がどんなものかわからないのです。ネットなんかで公開してくれてもいいんじゃないか? と個人的には思います。
 ただこれまでの経験でいくと、静岡地裁では、午前中10時から開かれることが多いようでしたから、その少し前の時間に裁判所に到着しました。

今回は、裁判員裁判だった。

 受付で教えていただいたところ、この日の午前中に開かれる裁判は裁判員裁判で、ある犯行を連続で行った被告の罪を問うものとなっていました。裁判員裁判の傍聴は初めてでした。初公判ではなく、裁判員に量刑をどのくらいにすべきかを検察側と弁護側が説明する公判でした。これが、同僚と私にとってはとてもわかりなすいものになっていました。

検察官のプレゼンテーション能力が高かった。

 今回、一番強く感じたのは、検察官のプレゼンテーションの能力が高さです。
 検察官は、説明を始める前に、A4用紙1枚の資料を関係者に配布しました。(当然ですが、傍聴人である私たちへの配布はありません。)この資料を使って検察官は、被告の行ったことがいかに悪質かを説明しました。
 少しだけ説明します。資料にはグラフを入れられていました。同種の犯罪の裁判で量刑がどのくらいかを横軸にし、その件数を縦軸にしたグラフのようです。グラフ左側が懲役期間が短く、右側が長くなっているということのようでした。たしか、禁錮13年が一番重い刑だったかと記憶しています。検察官は、被告が行った犯罪を説明し、グラフに載せられている犯罪よりも悪質であることをいくつもの理由を挙げて説明しました。つまり被告は、グラフよりも思い刑を処すべきだと主張したのです。最終的には、15年の懲役を求刑しました。
 このプレゼンテーションが、本当にわかりやすく、裁判員の方の中にも、検察官の言葉に何度もうなづいて聞いている方がいらっしゃいました。一緒に膨張した同僚は「検察官の話を聴いていたら、被告は許せないと思いました。15年の刑じゃ足りないと思いましたよ。」と言っていました。

被害者にしてみればもっと重い罰を与えて欲しいと思うのは当然。

 その後、被害者の代表の方になるのでしょうか? 被害に合われた方ご本人なのかは今ひとつわからないのですが、被害者としての思いを述べました。端的に言えば検察の見方は甘い。17年の禁錮にすべきだということでした。以前、裁判員裁判で検察の求刑よりも重い判決が出されたとして話題になったことがあったと記憶しています。(勘違いだったらすみません。)そのときに、求刑よりも重い判決が出ることがあるのだなぁと驚いた印象があります。ただ、今回の検察官のプレゼンテーションのうまさや、被害者の代表としての「ゆるせない」という思いを考えると、厳しい判決が出てもおかしくないと感じました。
 被害にあった方の気持ちを考えると、思い罰を与えて欲しいというのは当然のことだと思いました。
 ただ今回の犯罪は、殺人ではありません。15年といえば、悪質な殺人事件に匹敵する厳しさだなぁと私は心の中で思っていました。とはいえ、検察や被害者の代表? の方の話を聴けば15年が出ても不思議はないとも思いました。

弁護側の主張は弱いと思ったけれど……。

 次に、弁護側の主張が行われました。2人いらっしゃる弁護士のうちのお若い方が検察の主張の反論を含めて、検察が言うほどに悪質ではないと説明しました。これを聞いて、弱い! と思いました。というのは、裁判員の方々の情へ訴えるような主張なのですが、もうひとつ納得できるようなものになっていなかったからです。例を上げます。このような犯罪を行ったのは、被告のストレスによるものである。被告はこれまで強いストレスを感じ、耐える経験がなかったため、犯罪に走ってしまったという感じです。ストレスがたまったからといって犯罪を行われたのではたまりません。先ほど書いた裁判員の方もほとんどうなづくことがありませんでした。これじゃ、やっぱり15年位の刑になるかなぁと本気で思ってしまいました。
 しかし、若い弁護士の方の説明が終わった後、年配の弁護士の方が補足として検察側の主張への反論を行いました。これが鋭いと思いました。
 検察側の資料のグラフに載せられている判決の中には、同種の連続の犯行を行ったと言っても、いくつかの犯行では今回の被告よりも重い罪のものが入っている。被告は、そこまでのことを連続で行ったわけではないというのです。検察側の話だけを聞いていたらわからない事実でした。検察側の「被告はグラフの範囲の犯罪よりも重い罪のことをしている。故にグラフにある量刑よりも厳しいものを下して欲しい」という主張が弱いものになると感じました。

量刑が検察官と弁護士の能力によって変わってくるとしたら怖い!

 今回、裁判員裁判を傍聴して一番強く思ったのは、検察官、弁護士のプレゼン能力によって、量刑が大きく左右されるのではないか? ということでした。当たり前といえば当たり前のことなのかもしれまえせん。ですが、自分が被害者だったら、あるいは被告だったら、……どちらにしてもこわいと思いました。

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