社会科見学に出られない今、Google Earth を使う

コロナ禍で社会科見学に出られない

新型コロナウィルス感染防止のために、学校は長く休校しました。ようやく学校の学習活動が再開されたわけですが、様々な制約があります。

その中のひとつに社会科見学に出られないというものがあります。見学そのものが禁止されているわけではありませんが、3密を避けることを考えると、見学の実施は大変難しくなります。学級単位、学年単位でのバスや電車といった交通手段の利用はできません。また、徒歩での見学をするにしても、子ども同士の距離を取ることを考えると、交通安全上の危険性が高まります。一人の担任が、30人ほどの子どもを引率するにしても、子どもと子どもの間を2メートルとるとなればその列は必然的に長くなり、横断歩道を渡る、路側帯を歩くといった場合、大変危険になるわけです。

小学校3年生の社会科では、学区や市の学習があるのに

3年生の社会科では、学区や市の学習が行われます。その学区にはどんな施設や自然環境があり、人々はどのように暮らしているのかを学習します。そして、それが市にへと広がっていくのです。

当然のことながら、教科書や資料だけで学習するのではなく、見学を中心に「足で稼ぐ」学習が大切なことになるのです。

しかし、上記にあるように、現時点では新型コロナウィルス感染防止を考えて、気楽に学区見学に出ることはできません。かといって教科書や資料だけで学区の特徴を掴むことは難しくなります。

Google Earth を擬似学区探検に使ってみた

そこで、苦肉の策として Google Earth を使ってみることにしました。勤務校にある iPad に Google Earth をインストールし、自宅で作った学区探検のプロジェクトを大型ディスプレイに表示するようにしたのです。

宇宙から観た地球の姿からズームインし、自分たちの学校上空までたどりつく映像を見て子どもたちは大喜びしました。

スタートは、宇宙から
学校上空に到着後、少々角度を傾けて鳥観する

プロジェクトでは、いきなり学区の主要施設に飛ぶようにはせず、途中の道路をなぞるように立ち寄りポイントを入れ、どこをどう進んでいるかわかるように工夫しました。

公園の様子がよく分かる場所をアップにするようにした

学区内にある主要な場所が次々に表示されると、子どもたちは「〇〇公園だ!」「〇〇神社だ。行ったことがある」と声を上げました。

Google Earth は、ストリートビューも表示できる

Google Earth は、上空からの画像だけではなく、地上の高さからの視点で街の様子を見せてくれるストリートビューにも切り替わります。商店街では、上空の画像からストリートビューに切り替えて、店の並びの様子を前進しながら表示することもできました。

子どもたちは、「マクドナルドがその先にある」「デパートに行ったことがある」と自身の経験を基にいろいろとつぶやきました。

疑似体験ではあるけれど、悪くない

Google Earth を使って擬似的に学区体験をすることで、子どもたちは、学区にどんなものがあり、街の様子がどうなっているか? ということをつかむことができました。

子どもの中には「学校で見学にはいけないけれど、おうちの人と見学に行って調べてみる。」という子もいました。この発言を聞くと、少なくとも学区に興味をもたせること、調べ学習への意欲を喚起することはできたと思います。

Google Earth の良いところ

この学区探検のプロジェクトを使っていいと思ったところは、パワーポイントのプレゼンテーションなどよりも、柔軟に使えるということでした。

Google Earth でのプロジェクトでは、ポイントからポイントへと移動することが容易であり、そのポイントに着いたら、角度を変えてみたり、ズームイン、ズームアウトしたり、別の場所を見たりすることが可能です。子どもが「ここはどこかよくわからない」というようなことをいったときに、ズームアウトして周りの様子を見せたり、逆にズームインして特徴的な部分を見せたりすることができます。そのポイントが終わったらまた次のポイントに移動するのはワンタップでできます。

プロジェクトを作るのはちょいと面倒だったがやれないことはない

今回、初めて Google Earth のプロジェクトを作ってみたのですが、ちょいと面倒でした。Google Earth については、全くの素人でしたので、もしかしたらもっとよい方法があるのかもしれませんが、とりあえず次のような問題を感じました。

  1. iPadの Google Earth アプリでは、プロジェクトの表示はできても作ることはできない。
  2. Windows の Google Earth のアプリもあるのだけれど、それで iPad の Google Earth アプリで表示できるプロジェクトが作れない(ようだ)。
  3. しかたなしに、Windows マシンを使い、web版の Google Earth で、プロジェクトを作った。でも、それを学校の Google Earth で利用するのがイマイチわかりにくかった。

最終的には上記の問題をなんとかクリアーして、疑似学区探検のプロジェクトを作ることができました。手間はかかりますが、Web版Google Earth で、プロジェクトを作り、それを Google Drive に保存し、共有用のアドレスがわかれば、なんとかなります。

Google Earth を子どもに使わせて学区探検をさせてみようと思う

Google Earth で、学区の様子を見た子どもたちは、やる気満々です。そこで、考えたのは、子どもひとりひとりに Google Earth アプリを使わせて学区探検を実施してみるということです。勤務校の児童用のパソコンはタブレットPCです。 Google Earth のアプリを入れるということはできませんが、Web版のGoogle Earth を起動させることはできました。

まだローマ字を学習中の子どもにとっては、自校名を検索窓に入力することも大変です。が、指先で学区をめぐることは可能です。

本物を観たり、触ったりすることには到底かなわないわけですが、それでも、紙の資料だけを使うよりはずっと楽しい学習ができるはずです。

見学に出られなくて社会科をどうしようかお悩みの小学校3年生の担任の皆様、 Google Earth の利用をおすすめいたします。

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