小林清親展に行って来ました。

小林清親展に行って来ました。
 2015年03月14日(土)、妻と静岡市美術館に「小林清親展」に行って来ました。
 小林清親さんについては、これまでほとんど知識がありませんでした。ポスターやチラシを見て「へぇー、こんな浮世絵もあるんだぁ」と思った程度でした。
 広重さん国芳さんなどの浮世絵は、現実とは違った表現がなされ、それがひとつの浮世絵の世界という感じになっていました。
 けれど、小林さんの浮世絵は、とてもリアルな感じなのです。西洋の遠近法を使った景色の絵など、油絵の具や水彩絵の具を使っていないだけに妙な印象を受けました。
 おもしろいとは思うけど、わざわざ観に行くほどでもないかなぁと思っておりました。

 で、先日「ホイッスラー展」を横浜美術館に観に行ったとき、収蔵品展も併設されていて、その中に小林清親さんの作品も何点か展示されていました。
 リアルさがあるというだけではなく、光と影の使い方がうまい! と思い、小林さんっていいじゃんと思い直し、静岡市美術館にも足を運ぶことにしました。

 小林さんは、江戸から明治時代に生きた人で、社会の大きな変化の中で作品を発表し続けました。
 時代を感じさせるのは、江戸時代から伝わる浮世絵の木版画の技術で、西洋風の表現を行ったことです。
 江戸時代の絵画の多くがデフォルメされ、大胆な構図を使っているのに、小林さんはある程度抑えた表現をしています。冷静な視点で描いたのだろうなぁという印象を与えます。
 でも、それだけならそんなに魅力を感じさせないでしょう。小林さんがうまいのは、光と影の表現なのです。
 「猫と提灯」では、猫が火の入っている提灯にじゃれる様子が表現されています。提灯を見ると、本当に中に火が灯っているんじゃないか? と思わせるように描かれています。提灯の紙を透かして見える光、提灯の上の口から見る内部の反射している光、猫の顔や前足にあたっている光、これがうまいのです。
 その他にも「大川岸一之橋遠景」では、おぼろ月夜が浮かぶ中、2人の車夫が女性を乗せて人力車を引く姿がシルエットで表現されています。川面に映える月明かりの様子など本当に見事です。
 小林さんの光の扱いのうまさに、これらの作品は「光線画」と言われているようです。
 日本と西洋の絵画技術がうまく融合されたという感じの作品がたくさん見られました。

 ただ、小林さんの表現は、緻密という感じではありません。割りと大雑把な描き方をしています。チラシやポスターから受けるリアルさから、ものすごく描きこんでいるのか? と勝手に思っておりましたが、実物を見るとそうでもありませんでした。ある程度、線を省略しているのです。これは、私にとっては意外なことでした。また、作品によると思うのですが、摺りもそんなに高度な技術で行われているという感じではありませんでした。色によってズレが生じているものもあり、広重さんたちの作品のほうがすごい! と思わせます。(素人目ですからはずしていたらごめんなさい)

 さて、私は教員ですから、どうしても子どもに教えるのに使えるかな? なんて目で見てしまいます。明治になって様々な変化があった小林さんの時代、リアルな表現がなされた浮世絵は、社会科の貴重な資料として使える! と思いました。西洋風の建築技術が入ってきた時代の町並みは、美しくまたモダンな印象を受けます。それなのにちょんまげをしている人や刀を差している人が歩いていたりします。そういった作品は、子どもにとっても興味深いものになるでしょう。

 メジャーリーグではありませんが、小林清親さんの作品の展覧会、おすすめです。

 3月22日(日)までです。行くのならばお早めに。

http://www.shizubi.jp/exhibition/future_150207.php
「没後100年 小林清親展 文明開化の光と影をみつめて」|静岡市美術館

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