小学校の成績処理:行動のふりかえりアンケートと集計用名簿

思ったよりもプリントのダウンロード数が多いので

 このHPのアクセス状況を見ると、学習用プリントや教師用に作った資料の提供ページの閲覧数やダウンロード数が思ったよりも多いことがわかりました。そういったものは、作ると結構手間取ります。教員の方々の手間を少しでも減らせるように、自分が使ってきて、便利だったものを提供しようと考えました。

成績処理用のふりかえりアンケート

今回は、成績処理用のふりかえりアンケートをアップします。静岡市の小中学校は、前後期制になっていますので、3学期制の学校の先生方の中には、今頃アップされても役に立たないという方もいらっしゃるかと思います。ごめんなさい。後期用に作り変えて使ってみてください。

ふりかえりアンケート

前期ふりかえりアンケートは次のようになっています。

前期ふりかえり用アンケート

2ページを表示していますが、印刷するときには、両面印刷してください。

左側のページは学習用です。右側のページは、行動用です。Word の文書として最後にアップしておきますので、学年や学校の実態に合わせて書き直してください。

ふりかえりアンケート解説

タイトルの下に氏名や係、委員会、クラブを書き込むようになっています。成績処理に入る時、たまに子どもの係名を記録し忘れることがあります。そういう漏れが無いようにするために、係などを書かせるようにしてあります。
また、

※一番ていねいな文字で番号と名前を書きましょう。

と書かれています。それでも、なぐり書きする子は少なくありません。後述しますが、このアンケートは、保護者面談のときに資料として使えます。そのとき、この氏名欄の文字を見せて「〇〇さんは、こういったところにちゃんと気を配りていねいに氏名を書いていますね。」あるいは、「〇〇さんは、『ていねいに』って書いてあるんだけど、見落としちゃうんですよねぇ。本当は、もう少していねいに書けるはずなんですけどねぇ。」と話すことができます。

表の中は、学習の全般、および教科について自己評価を書かせます。教科名な問いの言葉などについては、学校や教室の実態に合わせて書き換えてください。(道徳の評価については、まだ学校によってまちまちな評価になっているようなので、はずしてあります。)
中央の広い欄は、言葉で書くようにしますが、全部を書くのは子どもにとって大変です。「書けたら書こう」くらいの指示でよいかと思います。右側の◎○△は、自分の判断で、

◎:よい  ○:ふつう  △:がんばりたい

をつけさせればよいでしょう。

右側が行動面(プリントには生活面と書いてあります。)のふりかえり用のアンケートです。
私が現職だった頃の項目に合わせて作っているので、現在とは違うところがあるかもしれません。そのあたりは修正してください。基本的には中央の欄の言葉は、通知表に書かれている言葉をそのまま引用すればよいかと考えられます。
子どもには、学習同様に言葉で書いたり、◎○△で評価を書いたりさせます。学習と違うのは一番右側の「よかったと思う子の名前」の欄があることです。

行動の評定、教師の目だけでは見えないところを知るために

小学校の教師は、子どもと接する時間が長いです。ですから、ある程度子どもの行動を見ることが出来ます。しかし、それでも、教師の目の届かないところでがんばっている子がいるのも事実です。子どもたちは、お互いによく見ていますから、他の子のよいところに気づいている子はたくさんいます。そこで、このふりかえりアンケートには 「よかったと思う子の名前」 を書く欄を設定しています。ここに多くの子から名前を書かれる子は、その項目の行動でとてもよくがんばっているということになります。
わたしが、現職のときには、このアンケートを成績処理で使っていました。自分が気づかないところで、子ども同士の中でとても評価の高い子がいることを何度も知らされました。
子どもたちには、 「よかったと思う子の名前」の欄には

書いても書かなくてもいいよ。良かった子が何人もいるなら何人書いてもいいよ。先生はみんなのことをよく見るようにしているけど、それでも先生が気づかないところでがんばっている子がいるはず。だから、自分でこの子ががんばっているなぁと思うようなことがあったら、名字と名前でしっかり書いてあげてください。

と説明をします。

「よかったと思う子」用の集計用名簿

この 「よかったと思う子の名前」 を集計するのは結構手間がかかります。そのために、集計用名簿もダウンロードできるようにしました。

行動集計用名簿

氏名の欄には、氏名をコピペしてください。
子どもたちが書いたアンケートの 「よかったと思う子の名前」 の欄に誰が何回書かれたかを集計します。
最上段の番号は、評価項目になります。(現在では、変わっているかもしれませんので、実態に合わせて書き換えてください。)その下には、評価項目に対応した番号が書かれています。この番号は、子どものアンケートに書かれているものと対応しています。つまり行動のふりかえりアンケートの1番が基本的生活習慣1になるということです。アンケートの1番によかったとして書かれている子の名前があったら、名簿のその子の1番のところに「正」の字で1角カウントしていきます。たくさん書かれる子がいますので「正」が3つくらい書けるように小さめに書くのがよいかと思われます。
この名簿には、ちょいと工夫がなされています。全てのマスに項目の番号が薄く印刷してあるのです。これは、視線移動を最小限にするための工夫です。
アンケートの集計は結構手間がかかります。たとえば、出席番号29番の子が8番目の項目「生命尊重・自然愛護」で他の子に名前を書いてもらったとします。その子の8番のマスの「正」のカウントを増やすのですが、一番上の数字まで見るために視線移動をしなければなりません。これが、なかなか面倒なことなのです。そうしなくてもいいように、全てのマスに項目の番号を薄く印刷しました。これを使うことで、29番の子の名前から横に視線を動かし、「8」と薄く書いてあるマスをさがして「正」の1角を増やせばカウントすることが出来ます。(この工夫は、同僚から好評でした。)

「よかったと思う子の名前」 を集計し終えたところで、ちょいと一手間かけて保護者面談の資料に利用できるようにします。
名簿を見て、それぞれの子が、何人の子から名前を書いてもらったか、その子のアンケートに赤ペンで数字を書いてあげるのです。出席番号1番の子のアンケートに、名簿から1番の子がどの項目に「正」の字で何人の子から書いてもらったかを確認して、書き写すわけです。これを、保護者面談のときに、保護者の方に見せると、その子の良さを伝えることが出来ます。

たくさん数字が書かれた子の保護者には次のように話しました。

このアンケートの赤い数を見てください。〇〇さんの名前を書いてくれた子がこんなにたくさんいるのです。私から見てもよくがんばっているわけですが、他の子から見ても〇〇さんががんばっているということがわかります。すばらしいですね。

当然のことながら、あまり書いてもらえなかった子だっています。
2項目に1人ずつからしか名前を書かれなかった(つまり2箇所に「1」とだけ赤で書かれた)という子もいるわけです。その場合には次のように話しました。

このアンケートの赤い数を見てください。〇〇さんの名前は、2回しか書かれなかったので、少ないと思うかもしれません。でも、このアンケートでは、がんばっている子の名前を書いても書かなくてもいいのです。〇〇さんの名前を書いた子は「気持ちのよい元気なあいさつや返事をする」ということで「このクラスでは誰があいさつがよかったかなぁ」と考えた時、クラス33人で自分以外の32人の中で1番がんばっている子として〇〇さんの名前を書いたのです。書かなくてもよいのにわざわざ書いたのです。数としては小さく見えるけれども、けっして小さな数ではないのです。ですから、その点を褒めてあげてください。

まれに、誰からも書かれない子がいます。クラスの中で問題を多発させる子ではなく、どちらかというと何事にも消極的な態度をとったりする子です。そういう子について、保護者の方にいうかどうかはご自身でご判断ください。
ただ、誰からも評価されなかったということは、指導者としてしっかりと覚えておかなければなりません。そして、その後、その子が活躍する場を作ったり、その子の小さながんばりを大げさにほめたりして、次のアンケートでは名前を書いてもらえるようにする努力してあげてください。私が現職の時、1年間を通じてゼロという子はいませんでした。

フリー・ダウンロード

ふりかえりアンケートと集計用の名簿は、以下のリンクからダウンロードしてください。Word 形式で作られています。
著作権等は保留しますので、自由に書き換えて自由に使っていただいて構いません。(自己責任でお願いいたします。)

成績処理って、とても大変ですね。現職の先生方がんばってくださいね。やれば、いずれは終わります。

おまけ

成績処理、一度終えても後から子どものがんばりを見て(あるいはマイナスに見える行動を見て)、もう少し変えたほうがいいかなぁって思うことがあるかもしれません。また、自分は未熟だから、自分のつけた成績はちゃんとしたものになっていないんじゃないかなぁなんて思う方もいるでしょう。
それでよいのです。子ども全員の一番近くの場所にいるのは、あなたなのです。あなたのつける成績がその時点でのベストなのです。

私は、成績をつけ終わったときに、よく同僚に言っていました。

芸術家は作品を仕上げるのではない。ただ投げ出すだけだ。」って言葉があるらしい。
油絵は、描き足そうと思えばいくらでも描き足せる。そうなると、いつまで経っても作品を仕上げることが出来ない。だから、芸術家は、どこかで見切りをつけなければならない。
成績処理も同じ。続けようと思えば、いつまでも成績処理を続けることができる。だから、この時点で十分だろうか? と不安に思っても、それでよし! と考えることが大事。その成績がその時点でのベストだと考えればいいんだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました